ゴミ屋敷
父親に収集癖があるし母親は家事が下手なので
掃除や整理整頓が出来ない
物を捨てる事は勿体無いという父の価値観で
いつの間にか実家はゴミ屋敷になっていた
ゴミは捨てるより父が燃やすという暗黙の規則があった
庭には小さい焼却炉があって火を消した後でも残った煙が空に登っていた
風の強い日は火事にならないかと母親はひやひやしていた
近所の人は気が気でなかっただろう
やがて区の通達で庭で物を燃やすのは禁止になった事が発覚
父親は神経質な位に規則や決まりを守るのでゴミを燃やすのは止めた
ゴミは増える一方だ
私は息がつまるので家の周囲を見ない生活をしていた
夜は空を見つめて空想に浸っていた
足の踏み場もないし壁も何かしらで覆われていて
ゴミは天井まで登っていた
都内の一軒家に住んでいながらゴミに囲まれる生活は
子供の頃から勿体無いと思っていたが
後の祭りである
ゴミだけでなく植物や生き物まで父親は外出先から拾ってくる
外界から実家だけ遮断されてた
異質で樹海に似たような例えのるが難しい死の世界
エイリアンにならないと生き延びれない
ドフネズミの死骸も勝手に捨てる事が出来なくて
うなだれるしかなかった